懲戒処分とは、会社がその企業秩序の維持のため、何らかの問題を起こした社員に対して懲戒、簡単な言葉で言えば罰を与えることを指します。
会社は多くの社員が一緒になって働いており、このような共同体では、一人の人間が身勝手な行動を取っては事業の目的が果たせなくなります。
そのため、会社は様々な手段で企業秩序を維持しようとしています。
それは何も懲戒処分だけではありません。
身近なもので言えば、上司による日常的な業務指導も、広い意味では企業秩序維持の目的を含んでいます。
企業秩序の維持が目的
あるいは、人事考課もその一つです。
人事考課は業績や実績、スキル、能力などに応じて決められることが多いでしょうが、一方では素行や行動に問題があって、会社組織の運営に悪影響があると判断された場合には低い評価しかもらえないこともあるはずです。
業務指導や人事考課は決して罰の意味が強いわけではありませんが、場合によってはこのような手段では目的が果たせないことも考えられ、より強硬なやり方が求められることもあります。
それが懲戒処分です。
これは別に日本の法律によって定められたものではありませんが、多くの会社で似たような仕組みが導入されていますので、それを知っておくのも無駄ではありません。
懲戒処分の段階
法律でも、軽い罪であれば罰金で済まされることもあれば、罪が重くなると懲役とか究極的には死刑まで存在しています。
企業の懲戒ではもちろん死刑などあり得ませんが、段階が設けられているのは似ていると言えます。
訓告・けん責
最も軽いものは訓告とかけん責と呼ばれるものです。
要するに上司や人事部門が公式に注意することを指し、場合によっては本人に反省文や始末書を提出させたりします。
単なる注意処分と思われるかもしれませんが、日常的な業務指導と異なる点は人事上の記録として明確に残されることで、結果として将来にわたって人事考課上の不利益を受ける可能性があることが挙げられます。
減給
次は減給です。
これは、労働基準法に定める範囲内で給料を減額するものとなります。
よくニュースなどで、会社の社長や取り締まり役などが、不祥事の責任を取って報酬の10%を返納するといったことがあったりしますが、これと似た意味合いがあります。
ただし、減額できるのはあくまでも労働基準法の範囲内であって、経営層などの報酬返納とは異なり、一般の労働者の場合に認められている減給幅は決して大きなものではありません。
具体的には、一つの事案については1日分の給料の半額まで、複数事案をまとめて懲戒する場合でも1か月の給料の1割までが減らせる限界となっています。
せいぜい数千円から数万円レベルのものと考えて良いでしょう。
出勤停止・停職
減給の次に来るのは出勤停止とか停職と呼ばれるものです。
これは、一定の期間にわたってその労働者の就労を禁止するものとなります。
どれくらいの期間かは会社の規則によって異なりますので一概には言えませんが、一般的には1週間から1か月程度の間であることが多いです。
当然ながら、就労していない期間は賃金も支払われませんから、実際問題として減給処分よりもその期間の給料の額は下がってしまうことになり、より大きな処分となる意味があるわけです。
降格・降級・降職
この次に重い処分は降格とか降級、降職と呼ばれるものになります。
課長職にある人の場合、係長職に格下げにするとか、同じ役職に留まる場合であっても給料の等級を引き下げることを指します。
ここまで来ると処分がその社員に与える影響は一時的、限定的なものでは到底なくなります。
もちろん心を入れ替えて挽回するようなチャンスが完全に閉ざされてしまったわけではないでしょうが、会社人生全体にわたってマイナスの影響を受け入れざるを得ないことになります。
降格や降級はまだその会社に居続けられるわけですが、この先の処分となるともうそうはいきません。
諭旨免職・諭旨解雇
次に重い処分は諭旨免職とか諭旨解雇となります。
要するにクビ相当の処分ではあるのですが、本人の事情を汲んで一歩控え、本人に勧告して自主的に退職願を出させるということです。
懲戒解雇
そして会社で最も重い処分が懲戒解雇です。
即時クビにすることを指し、退職金についても支給されないことがあると規定している会社が多くなっています。
なお、諭旨免職や諭旨解雇の処分を受けた場合に、本人が退職願を出す勧告に応じない場合には懲戒解雇とすることが普通です。
まとめ
以上が一般的な懲戒処分の段階ですが、これだけでは説明が不十分ではないかと感じる人も多いでしょう。
つまり、どんな問題を起こした場合にどのような処分を受けることが普通なのかが何も書かれていないからです。
一般論として、法律では、どんな罪を犯すとどのような罰があるのかが書かれていますが、上の記載ではそういうことには触れていません。
これは実は企業自身で取り決める必要があるのですが、もちろん無茶な取り決めをして良いわけではなく、起こした問題の大きさ、会社に与えた損害の程度、本人の反省度合いなどに応じて適切な処分としなければなりません。
参考になるサイト
・懲戒処分とは?種類や選択基準・進め方などを詳しく解説
最終更新日 2025年9月18日 by sunolu







